キリスト教のメッセージは、イエスを信じれば、死んだ後に地獄から救われ天国に行けることだと、
多くの人が考えてきた。 しかし、もしそれが聖書の真の教えでないとすれば?
イエスの伝えた「グッドニュース」は、死後のことだけでなく、もっとスケールの大きな、
もっと素晴らしいことが起こるものだとしたら?
N.T.ライトは本書で、福音とは何かを捉え直し、それが私たちの将来だけでなく、
現在の生き方をも大きく変えることを明らかにする。
キリスト教信仰は、その最初期の形において、「良い知らせ」(福音)、グッドニュースとして提示されました。これこそ、「ゴスペル(gospel)」という古い英語の本来の意味です。
私が主張したいのは、キリスト教信仰を「良い」「知らせ」として捉えるということ自体、
皮肉なことに、今日の人々にとっては耳新しい知らせだ、ということなのです。
「良い知らせ」は良い「アドバイス」へと微妙にすりかえられてしまっています。彼らは言います。
「これが生きる方法だ」。「これが祈る方法だ」。「よりよいクリスチャン、よりよい人間、よりよい妻や夫になるためのテクニックだ」。
とりわけよく見聞きするのは、
「これが死後に備えて正しく歩む方法だ」というものです。「このアドバイスを受け入れたまえ」。
「この祈りを祈れば、あなたは救われる。地獄に行かずにすむ。天国に行ける。そのためには、こうすればいい」と。
アドバイスの本質とは、何らかの行為をさせて、望みの結果を得ることです。
もちろん、それが良くないということではありません。
私たちは皆、それを必要としています。しかし、それは知らせとは別物です。
知らせとは、何か重大なことが起こったという告知です。
そして、イエスと、最初に彼に従った人々が伝えたのは、
その良い知らせにほかならなかったのです。
(本書1章より)
【もくじ】
1 何についての知らせか?
2 愚かな知らせ、恥ずべき知らせ、それとも良い知らせ?
3 王なるイエスについての驚くべき知らせ
4 歪められた福音、競合する「福音」
5 天国再考
6 間違った未来、間違った現在
7 神についての驚くべき知らせ
8 良い知らせを祈る