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ホームキリスト教神学『風をとらえ、沖へ出よ』ー教会変革のプロセス
商品詳細

『風をとらえ、沖へ出よ』ー教会変革のプロセス[A5判並製]

販売価格: 1,980円(税込)
厚み: 11mm
数量:

教会は変革を嫌う。それでも、教会の変革は急務だ、とリングマは訴える。
それは、教会が自らの制度的仕組みに突き動かされ、人々を疎外しているからだ、と。
ではどうしたら教会はそのような本末転倒から解放され、人々をエンパワーできるのか。
本書はそこで、神学的な「教会論」や「成功する教会モデル」といった「答え」を与えてはくれない。
むしろ、変革の必然性、政治学、障壁、聖書の読み直し、実践などのテーマから新しい「問い」を提供し、
読者自らが考え、責任ある変革の担い手となることを励ます。

宗教改革から500年の年、共に考えたい。
教会は変革されつづけることができるのか──。


「はじめに」から抜粋
 本書は、教会についての単なる学問的関心からではなく、まず何よりも私自身の長く痛切な葛藤から生まれました。その葛藤をことさら深めたのは、解決不可能に思える二つの緊張関係でした。一つ目は制度的教会と、そうした教会の伝統からは傍流とされるようなキリスト者共同体の間で経験してきた緊張関係です。「あっちよりはこっちのほうがいい」とどちらかに落ち着くのでなく、どちらの教会のあり方も創造的に関わり合う必要がある、と私は信じています。

 二つ目は教会——それが制度的教会だろうとなかろうと——と世との緊張関係です。教会はただ自らのために存在しているのではなく、世にとって意味あるものでなければなりません。そう信じるがゆえに私は、教会に忠実でありながら、街場(マーケットプレイス)にとって意味あるものであろうとして、その間でたえず引き裂かれてきました。

 街場だけでなく、街の通りの暗がりでたむろする若者たち、公共福祉サービスの現場、民間産業、あるいはアカデミアの神聖な殿堂でも、人々の反応はほとんど同じでした。人々はイエスには惹かれていましたが、教会については軽蔑すらしているか、自分たちにとってほとんど無意味なところだと思っていました。

 そんなことは大した問題でない、とに構えていた時期もありました。「イエスのことばをじっくり理解してもらえば、知り合いは教会に来てくれるだろう」と思っていました。その確信はほどなく揺らぎ始めました。人々がイエスに出会っても教会につながらなかっただけでなく、教会の内にいた人々までもがその裏口から出ていってしまったのです。

 これはかなり困った問題だと思いました。薬物依存の人々や売春婦たちが、キリストにある新しいいのちを受け入れる姿は麗しいものでした。しかし彼(女)らが教会生活になじむのに苦労する姿は、見るのも辛いものでした。教会は多様な弟子たちの共同体というより、一つの画一的な文化でした。

 話をさらにややこしくさせることがありました。街場や家々で生まれたインフォーマルな分かち合い、仕え合い、祈り合い、労り合いこそが、教会のあるべき姿をあらわしているように見えたのです。つまり、教会の形式にこだわらないほうが、人々とつながることができ、彼(女)らの抱える問題や葛藤を共有してもらうことができました。
 
 なかでも家々でもてなしを実践するとき、こうしたことが起こりました。人々はそこでキリストを信じ、献身し、弟子として成熟しましたが、それは教会によくある形で伝道され、牧会されたからではありません。それは、友情関係を築くさなか、日常生活で時間を共にするさなか、料理や掃除など家事を一緒にし、その後の楽しい夕べのひととき、お互いの人生について語り合い、打ち解けるさなかで起こったことでした。

 こうした生き方には、リアルな匂いや本物の響きがありました。かたや教会は、形式ばって偽物っぽく映りました。日常生活からあまりにかけ離れているように思えてなりませんでした。そこでは生活が分かち合われていましたが、日曜日の教会では、お決まりの宗教的儀式が中心を占めていました。

 本書はこうした葛藤のいくばくかを解きほぐす試みです。

【もくじ】

日本の読者のみなさんへ
  まえがき
  序 章
第1章 変革をめぐる私の旅路─道しるべが指し示してきたこと
第2章 変革の政治学─何が変化をそこまで難しくするのか
第3章 変革を求める訴え─教会に何が必要とされているのか
第4章 変革の障壁─行く手をはばむ問題
第5章 変革の必然性─応答すべきいくつかの問い
第6章 変革の源─聖書が教えるヴィジョンの描き方
第7章 変革のヴィジョン─教会を変える新しい洞察とは何か
第8章 ヴィジョンを実行に移す
  ─人々のエンパワーメントはどのように実現されるのか
第9章 生き方の変革─イエスを中心とする生き方へ
  結 論
  補 遺─変革モデルの一例
  ディスカッションのための問い
  参考文献
  訳者あとがき

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